| |
鈴木安蔵さんの名前を知らない方は多いかもしれません。鈴木安蔵さんは、私たち戦後の憲法研究者にとって偉大な尊敬すべき憲法学者、忘れてはならない歴史家の一人です。著書「自由民権」(1948年、白揚社)は、私の小論文「明治憲法以前の人権思想」(1955年)の豊かな「栄養素」でもありました。鈴木さんの戦争中の明治憲法史研究(例えば「憲法制定とロエスレル」1942年、東洋経済新報報社)は、あの戦争時代によくもこれだけ、立憲主義の精神と社会科学的方法を貫かれたものだと感心する研究です。それと同時に、その苦難を偲ばせる業績です。また、太平洋戦争敗戦後、ただちに「憲法研究会」の中心メンバー、学者として「憲法草案要綱」(1945.12.27)を作成発表しました。その内容は、日本の自由民権運動、労働運動、社会主義運動の成果と研究を踏まえた近代的立憲主義憲法草案そのものでした。GHQはその存在と価値を高く評価し、当時の保守的な、明治憲法とほとんど変わらない政府草案に対して拒否の姿勢をはっきり示しました。そして、これがGHQ草案を日本国民の示す動機の一つになったといわれています。GHQのこのような意図と行動には、日本における自由民権運動以来の民主主義運動の底流と近代的憲法の誕生を、アメリカ占領軍の単なる「押しつけ」だという「俗論的政治論」があります。しかし、日本国憲法の底に流れる日本の立憲過ぎし草案と民衆運動の歴史、そしてそれを掘り起こしていった日本の憲法研究者の苦悩と栄光、日本の暗雲と晴天の歴史を振り返り、あすの平和と人権と民主主義のための力としたいと思います。映画「日本の青空」は、そのためのわれわれにとっての歴史の教材にもなるでしょう。映画「日本の青空」に大いに期待しています。 |
|